腹腔鏡手術
担当医からのメッセージ
院長 上野有生はじめまして、キャッスルベルクリニック院長の上野有生です。私は1998年から本格的に腹腔鏡手術を始めました。
2002年に前勤務先の綾部市立病院の部長となり、手術責任者となってからは、卵巣腫瘍から子宮内膜症、子宮筋腫、悪性腫瘍までほとんどの婦人科手術を腹腔鏡で行っています。また、最近は腹腔鏡手術を希望する患者さんが多くなっている一方で、腹腔鏡手術を行える産婦人科医がまだまだ少ないことから、他施設での手術指導にも力を入れてきました。
小さなキズで行えるということで始まった腹腔鏡手術ですが、実際手術を行ってみると、腹腔鏡で拡大して見ることにより病気の具合が非常によくわかることが最大のメリットだと感じました。
一方、特殊な器具で直接触ることができない腹腔鏡手術は、訓練や経験、慎重な対応が必要です。小さなキズだから手術の内容が多少劣ってもよいということではなく、開腹手術と同等以上の出来映えが必須であると考えています。
始めた当初は、開腹手術と同等の手術をするために特殊な機器や方法で劣る技術をカバーしてきましたが、訓練と積み重ねにより今では開腹手術を再現した手術ができるようになったと自負しています。
腹腔鏡手術であるという理由で妥協することなく、より完遂度の高い手術を行うよう努めて参ります。
手術を検討されている患者さん、ご家族の皆様は、心配や不安を抱えていることとお察しします。手術前には病気のこと、手術のこと、他の治療法、選択枝などについて詳しく説明いたしますので、何でも遠慮なくお尋ねください。
また、手術患者さんをご紹介いただく他施設の先生方には大切な患者さんをお預かりいたします故、ご希望がございましたら手術を一緒にご覧いただくことも可能です。
先生方に安心していただくために、われわれがどのような手術を行っているのか一度ご見学ください。
適応及び一般的な施工術式
子宮筋腫の手術
TLH全腹腔鏡下子宮全摘術
子宮筋腫や子宮内膜症などで行われる手術で、子宮を全て摘出します。500g(正常子宮のおよそ5倍)までの子宮であれば、極少量の出血で行うことができます。手術後は月経がなくなり生理痛などの症状から解放されますが、卵巣を温存しますのでホルモンバランスが崩れることはありません。
TLM 全腹腔鏡下子宮筋腫核出術
主に将来妊娠を望まれている方の子宮筋腫に行われる手術で、子宮筋腫のみを摘出し、子宮は温存します。筋腫の数が多い場合や筋腫が大きい場合は、子宮全摘術よりも時間がかかり、出血も多くなりますが、他人の血液を輸血することはほぼありません。子宮を温存するため将来再発する可能性がありますので、小さな筋腫も含めできるだけ全て取り除くことが重要です。
卵巣腫瘍の手術
LC 腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術(附属器切除術)
卵巣腫瘍に対して行われる手術で、腫瘍部分のみ摘出し正常卵巣を温存する方法と閉経後女性など卵巣機能がない方などで卵巣を全て摘出する方法があります。比較的簡単な方法でできますので、早ければ10分、長くても1時間程度で手術することができます。開腹手術に対する優位性が高く、腹腔鏡手術が最も得意とする手術です。
腹腔鏡下子宮内膜症手術
近年、非常に多くなってきた子宮内膜症に対する手術です。
子宮内膜症は生理痛や不妊症の原因となる難治性の病気です。最近は効果的な薬も増えてきましたが、やはり手術が必要となることも多いです。特に、不妊症の患者さんでは手術が必要となります。腹腔鏡で、卵巣にできるチョコレート嚢腫や子宮にできる腺筋症、おなかの壁にできる骨盤内膜症などを治療します。チョコレート嚢腫は将来ガンにかわる恐れがあり注意が必要です。子宮内膜症の程度は様々であり、手術時間や手術の難易度は患者さんにより大きく異なります。閉経する50歳すぎまでは進行・悪化していく病気であり、病状が進むと手術が大変難しくなりますので、将来妊娠を望まれる方は特に早めの治療が必要です。がんの手術より難しいことも多く、腹腔鏡による拡大視を利用することで、開腹手術に比べより繊細で丁寧な手術をすることができます。
悪性腫瘍手術
子宮頚癌や子宮体癌、初期の卵巣癌などで行われます。 腸など他臓器に対するダメージが少ないことから、開腹手術に比べ術後の回復がよいことが特徴です。拡大視により出血を非常に少なくすることができ、リンパ節郭清には最適です。
子宮鏡手術
腹腔鏡で使うようなカメラで子宮の内側を見て、手術をします。子宮内腔にできた筋腫やポリープなどを手術します。
Q&A
激しいスポーツは1ヶ月程度控えていただきますが、ウォーキングや体操などは退院直後から可能です。
日本産科婦人科内視鏡学会 技術認定医による手術です。
※麻酔管理は日本麻酔科学会専門医が担当します。